村上龍の「最後の家族」を読み終わる。ひきこもりがテーマと分かったとき、また時事ネタ狙いかと思ったのだが、今回は違った。それに加えてリストラと、当時の時事ネタは詰まっているのだが、いつものラジカルな方向には向かわず、家族のドラマとして成立している。今回の感触が若干違って思えるのは、ひきこもりやリストラといったものがネガティブな方向に向かわなかったせいもあるかもしれない。いずれにしろ、セックスやヴァイオレンスに頼らずにここまでまとめる力量があるのだなと改めて村上龍を見直す。