November 16, 2004

無頼

さて、とうとう会社を退社することになりました。

ことの次第はこうである。本日、地元で一番お洒落なカフェで彼女と夕食と摂っていると、携帯に電話が掛かってきた。上司曰く、12月で退社ということにして欲しいという。つまり、体よく言えば依願退職、悪く言えばクビのようなものである。会社の出してきた条件は、退社日までは自宅勤務、つまり出社しなくても給料は出す、退社3ヶ月後に失業保険が降りるまでは相当の金額を出す、というものである。要するに、会社を辞めてからも3ヶ月は(失業手当分の)給料を出すというものだ。ま、会社も精一杯の条件を出したのだろう。僕は一方でほっとして、一方でがっかりした。ほっとしたのは、どう考えても結論の見えない、究極の選択からようやく解き放たれたからであり、がっかりしたのは、僕という存在をあっさりと切り捨てた会社(の新体制)に対してである。これまでの約三年間、僕は会社の売上のほとんど売り上げてきた。それが方向転換した途端にこれである。まあしかし、もはや今の会社はクリエイティブな方向を見失ってしまい、僕にとっては魅力がなくなってしまった。それに、出資を受ける条件として関連会社と連結を行う体制には僕は入ることができない。なぜなら、例のサイコ野郎と一緒に仕事はできないからである。こういったことを考え合わせると、この話は僕と会社の関係において、決して悪い話ではない。僕は会社の外部スタッフとしてプロジェクトごとに関わることは可能といえば可能である。つまり、僕が失うのは会社員という肩書きと保証された月給だけである。ということは、そこそこいいところに落ち着いたということなのだろう。しかしながら、失ったこの二つが案外と大きい。それを補うのはあまりにも大変だ。ほっとすると同時に、大いなる不安を抱いてしまうのは当然である。両者の関係においては妥当な提案であるが、僕個人にとっての問題は根本的なところで解決していない。それどころか、路頭に迷うと言ってもいい。だが、僕はこの提案を快諾した。もうこの宙ぶらりんな状態にはうんざりだし、人生を好きなように生きてもいいはずだ。僕には僕のポリシーがあり、それを譲らなかっただけのことである。決してプー太郎になることが目的ではない。だから僕は不安で一杯だ。しかし、今はただほっとするだけでいいのではないか、と思う。ほっとして、半年ほど与えられた時間でゆっくりと考えればいいことではないか。もう一度生き方を考え直してもいい。ただ食うだけなら人間ひとりどうにでもなる。問題は、どう生きるかということである。しかしながら、ふと顔を上げると、僕と上司の会話を耳にしていた彼女の目が潤んでいる。してみると、やはりこれは哀しい話なのだろうか。

Posted by Sukeza at November 16, 2004 01:11 AM
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