July 27, 2007

昼寝をして、恐ろしい夢を見た。僕が人のファーストネームをすべて見失ってしまう夢である。僕は大学か何かの、教室にいる夢を見た。クラスメートが議論を戦わせている。あまりにも議論に決着がつかないので、僕がしゃしゃり出ることにした。「こんなことをしていても、埒が明かん。担任を呼ぼう。このクラスの担任は、佐藤……栄……栄……なんだっけ?」というのから始まり、一番目立っていた女の子に、「えーと、君はゆ、ゆかりだっけ?」とか言い始めて、とにかく、あらゆる人のファーストネームを見失ってしまうのである。言葉が出て来ない。上手く喋れない。恐ろしい夢だった。

夢を見たきっかけというか、原因は分かっている。昨夜、風呂に入ってから左耳が痛くなり、以前から膿とか出ていて気になっていたので、今日、近所の耳鼻科に行ってきたのである。それで、初診の問診表を書いていて、僕は症状のところに「痛い」と書こうとした。ところが、やまいだれまで書いて、その中を忘れてしまったのである。書きかけたのだが自信がなく、結局ペンで消して、ひらがなで書いてしまった。このことはたいそう僕にとってショックだった。実はその予兆もあり、昨夜、残念ながら3位決定戦に回ることになった日本代表のスケジュールを手帳に「日本×韓国」と書こうとして、韓国の「韓」という字が書けないことに気づいたのである。なんとなくイメージはあるのだが、自信がない。慌てて机の上の漢字表記辞典で調べた。やっぱり僕は正しく韓国の「韓」という字を把握していなかったことに気づいた。それに続いて今日の事件である。今日のはよほど基本的な、小学生でも書ける漢字が思い出せなかったことで、僕はあらゆる漢字を見失ってしまったような、酷いショックを覚えたのである。

この原因も想像がつく。僕はパソコンを20代後半から使い始めた。と同時にワープロも使い始めた。つまり、今から20年前から、僕は字を「書く」よりも、「打つ」ことの方が多くなり、最近に至ってはまったくPC頼みになっているのだった。漢字を読むのは比較的自信がある。なんとなくイメージで全て覚えているからである。ところが、書くとなると、途端にイメージの細部があやふやなのに気づく。もっとも基本的な字すら、どこか怪しいのだ。これは恐ろしいことだ。書くことをしないと、書けなくなってしまう。僕は一時期、それを気にして、原稿用紙に手書きで小説を書いていた。しかしそのときも、怪しい字にぶつかると、怪しいまま書くか、ひらがなで書いてしまい、後でPCで変換すればいいや、と思っていたのだった。これでは意味がない。ちょっとでも自信がなかったら、いちいち辞書で調べなければいけない。そのうち、本当に僕は漢字を書く能力を失ってしまうかも知れない。そして、夢で見たように、人のファーストネームを見失い、終いには言葉そのものさえ見失ってしまうかも知れないのだ。

Posted by Sukeza at July 27, 2007 09:04 PM
Comments
Post a comment









Remember personal info?