June 15, 2007

日記を書くということは、因業やなあ、と思う。本日一番印象に残っていることが、本日一番不愉快であったことなのである。自分としてはもう忘れてしまいたいのだが、日記としては書かざるを得まい。

というわけで、朝っぱらからヒジョーに不愉快な目に遭った。いつものように、パチンコ屋に車で向かっていると、前を古いアコードCAが走っていた。懐かしいなあとか思いながら見ていたら、この車がやけにとろい。まるで教習所の車みたいに、制限速度きっちりで走っている。普通に走っているとぶつかりそうになる。僕は東京で走っていたときの癖で、車間距離をあまり空けない。東京で車間距離を空けると、すぐに他の車に入られてしまうからだ。故に、しばしばこのようなとろい車に遭遇すると、必然的にあおっているような形になる。ま、実際よくあおったりするんだけど。で、とある信号にさしかかり、信号が赤になると、アコードはまるで嫌がらせのようにやたらと早めにブレーキを踏んで、のろのろと停止線まで進んだ。と、おもむろに運転席のドアが開いて、白髪のジジイが顔を出してこちらを睨んでいる。なんだこのジジイは、怒っているのか? 自分があれだけちんたら走っておいて、と思っていると、またドアが開き、またジジイが顔を出した。3度目にドアが開いたときに、職人風の痩せたジジイが車を降りて、なにやら怒鳴りながらこちらに向かってくる。やれやれ、ホントに怒ってるみたいだな。

ジジイ「お前、そんなに急いでいるのか?」
僕「はあ?」
ジジイ「だから、お前そんなに急いでいるのかって聞いてんだ、バカヤロウ」
僕「急いでるよ」
ジジイ「アオってるんじゃねえよ、バカヤロウ」
僕「アオってるんじゃねえよ、バカヤロウ」(ここで、何故か同じ言葉を発してしまったことに気づく。意味的には違うのだが。)
ジジイ「お前、そこの信号左曲がれ」

そういうとジジイは車に戻って行った。僕はそれこそもっと言いたいこと――そっちこそトロトロ走ってんじゃねえよ、このジジイ、とか――があったのだが、ジジイの剣幕に押されて言いそびれてしまった。この、剣幕に押されたというのが悔しい。不愉快である。なんつうか、勝負する前に負けてしまったような、嫌あな感じ。最近、僕は口下手になってしまっていたのであった。信号はまだ赤だ。こちらから手を出したら捕まるし、わざとぶつけてやるという手もあるが、そうするとこちらの車もへこむ。てなことを目まぐるしく考えた。ジジイに罵倒されたことで、はらわたは煮えくり返っている。信号が青に変わった。ジジイがウインカーを出して、左に曲がるのが見えた。その瞬間、僕は、予定通り猛スピードで右折した。バーカ、と毒づきながら。しかし、しばらく走っているうちに、なんか、僕の方が逃げ出したような気がしてきた。むかつく。オレは敵に背を向けたのか? ま、要するに実際のところは、信号が青に変わった瞬間に、面倒くさくなったのである。それに、ジジイに付き合っていると、パチンコ屋の開店に遅れてしまう。うーむ、しかし不愉快だ。なんでこんなに不愉快なんだろう。ボコボコにしてしまえばよかった、などと後から考えた。昔は気を吐いていたのかもしれないが、今はどう見ても70近い老いぼれだ。喧嘩になったら僕が負けることはないだろう。しかし、そうすると警察沙汰になりそうだ。なんか、もっと爽快な、例えば、相手のキーを抜いてどこかに放り投げるとか、そういうことがしたかった。なんなら、僕の車のゴミ箱に詰まったゴミにライターで火を点けて、ジジイの車に放り込んでやればよかった。しかし、そりゃあ犯罪だな。とにかく、朝っぱらから不愉快きわまりない一件だった。またアコードCAに遭遇したらどうしよう? もちろん、アオってやるぜ。アオりまくったる。ってことは、不愉快になるのは自業自得? しかし、こういう場合、takさんのように空手も剣道も黒帯といった、腕に自信がある人はどうするのだろう? 

Posted by Sukeza at June 15, 2007 09:08 PM
Comments

アコードCA、懐かしいですね。ライトがリトラじゃないやつですよね?

・・・面倒くさがりの私はジジイが出てきた時点で「ごめんねー、ハハ」で済まそうとすると思われます。また、私には怒ると敬語になってしまうという変な癖があり、以前も一方通行を逆走してきた車に「危ねえだろ!」と言うつもりが「危ないと思うんですよ!」と言ってしまい、緊張していた場を爆笑に陥れてしまった前科があります。

・・・ジェイ・マキナニーが言うのに、「その場で喧嘩するようじゃ駄目だ。家に帰ってから仕返しの方法を考える奴じゃなければ小説家にはなれないのさ」ということだそうですので、そのような観点からするとSukezaさんの反応は極めて正しいのではないでしょうか。

Posted by: tak at June 15, 2007 10:30 PM

takさん、ありがとうございます。そう言ってもらえると、なんか救われたような気がします。実際のところ、仕返しの方法は20ぐらい考えました。まあ、どれも実現不可能なんですが。

久しぶりのコメントで嬉しいです。僕のところは、ホントにコメントの書き込みがないので。なんでかなあ、といつも思うのですが。要するに、コメントを書きにくい文章を書いている、ってことなのかな。

Posted by: Sukeza at June 15, 2007 10:58 PM
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