December 05, 2006

ウラジーミル・ナボコフの「ロリータ」を読み終わった。先日、僕はこの小説を読んでいる途中で、退屈極まりないと書いた。実際問題として、そのとき、僕は退屈していた。延々と続くハンバートとロリータの旅の最中だ。ところが、今、この小説を読み終わってみて、感想を述べる段になると、面白かったのである。正直、面白かった。僕はこの小説を、今年読んだ小説のベスト・ワンにしたい。ときにはうんざりするくらい長い名文も、果てしのない主人公の妄想も、こらえ性のない読者である僕にはとても退屈なものに思えたが、いざ読み終わってみると、それらがいかに効果的に絡み合い、連鎖し、伏線を描いていたかに気づくのだった。大団円には爽快さすら覚える。これはロシア人の作者が英語で書いた初めての小説にも関わらず、非常にアメリカ的な小説である。古典と呼ばれているにも関わらず、素晴らしくモダンな小説だ。これは若島氏の訳によるところも大きいだろう。とにかく、こらえ性のない僕が、途中で投げ出さずに最後まで読んだということは、とても幸運なことだった。小説を書いている、あるいは、書きたいと思っている人に読んでもらいたい本。

Posted by Sukeza at December 5, 2006 07:18 PM
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