April 17, 2006

カズオ・イシグロの「わたしたちが孤児だったころ」を読み終わった。なんというか、読後感のある小説だった。読後感ってものは必ずあるでしょう、と突っ込まれそうだが、中には読後感のない小説ってものもあるのだった。だから何?みたいな。まあ、それも読後感といえばそうなのかもしれないけど。純文学的推理小説というようなことが帯かどっかに書いてあったけれど、これは推理小説ではない。恐らく、そう思って読み始めると、かったるくて読めないだろう。確かに、後半はハードボイルド的な要素があるけれど、これは確かに文学なのだった。物語は記憶を階層的に積み重ねることによって語られる。それは確かにじれったいのだけれど、終盤に近づくにつれて効果を発揮する。クライマックスはちょっとせつない。そんな本だった。誰にでも薦められる本ではないけれど、一度読んでみてもいい本。

Posted by Sukeza at April 17, 2006 11:15 PM | TrackBack
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