May 16, 2005

小林秀雄を読むために、カミュの「ペスト」を読んだ。正直、古色蒼然とした文章はすこぶる読みにくく、しばしば苦痛を伴った。読みにくいし、頭に入らない。こういった古典によくあることだが、訳文が古すぎるし、最も問題なのは糞真面目な逐語訳によって生じる混乱、分かりにくさである。こういった年代物の訳によくある、文章を本業とする人ではない人による訳、つまりフランス文学者云々、といった人々の頭の固い訳は、なんとも不自然な日本語となり、読みにくいことこの上ない。しばしば主語が混乱し、まるで受験の読解試験のような難解さを伴う。これは悪文の典型である。もしこれが原文を忠実に訳したということであるなら、カミュの原文が悪文であるということになる。いずれにしろ、何度読み直しても頭に入らない文章など、名文であるわけがない。僕の印象では、カミュは凡庸な作家である。それは「異邦人」を読んだときにも頭を掠めた。彼の文章はいささか冗長に過ぎる嫌いがある。この「ペスト」にしろ、もっと贅肉を削ぎ落として簡潔にすれば、と思える箇所が多い。実際、この小説は長すぎると思う。小説自体の内容が悪いとかいうことではなく。さて、この後小林秀雄を読むわけだが、なんと書いてあるのか。

Posted by Sukeza at May 16, 2005 07:25 PM
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