十二才のむすこ

musuko

6月23日、木曜日。

朝から雨。5時か6時ごろに一度目が覚めたこともあって、8時に起きた。案の定眠かった。今日は例のブレグジット(英のEU離脱)の国民投票の日、よって今日から明日の午後までは相場は参加せず見てるだけ。ということもあり、午前中は免許の更新に行った。道に迷いそうになりながらも、なんとか10時過ぎに総合安全センターに辿り着く。

今回からゴールドになるということで講習も30分で済み、その場で新しい免許証を受け取る。いささかというかかなり情けない写真ではあるが、これと5年間付き合わねばならない。とはいうものの、考えてみれば免許証って使う機会もそうだが手に取って見る機会はあまりなく、しげしげと見るのはもらった日ぐらいだ。面長の、憂鬱そうな顔をしたしょぼくれた中年のおっさんであるところの僕が写っている。しかしながら実際のところの僕は貧相な初老の男であり、そういう意味では憂鬱そうな中年に見えることはむしろありがたいというべきなのか。

とにかく講習中は異様に眠くて参った。そんなわけだから、帰宅後はソファで2時間ちょっとの昼寝。それはそうと、あれほど売るほどあった煙草のストックがついになくなり、おまけに業務の貯玉もなくなった。だからお金を出して煙草を買わねばならないのだけれど、その場合アメスピにするのかそれとも今まで通りラークマイルドにするのか迷うところ。ひとまず、書斎の机の引き出しに亡夫が4年前に買ったマイルドセブンスーパーライトが5箱ほどあるので、それを吸うことにする。賞味期限(煙草にも賞味期限はある)が3年も過ぎているのだが、吸ってみると案外と美味い。だが今となってはマイルドセブンという名前すら残っておらず、メビウスという名前になっている。

夜、その煙草が入っていた引き出しの中に父による先祖関係資料の封筒と一緒になんか封筒があったので中身を確かめてみた。するとそれは、ほとんどが弟の子供(つまり父の孫、僕の甥)からの父への手紙だった。それと、僕と弟のへその緒もあった。その手紙の中に一通だけ、甥っ子からではなく僕か弟のどちらかが出したと思われる手紙があった。

差出人のところには「十二才のむすこより」と書いてある。宛先は父と母と祖母。中の文面を読むと、両親と祖母に対する感謝の言葉が述べられている。何しろ小学校のころの筆跡だから自分のか弟のか分からない。ただ父はこの手紙を40年以上も大事に保管していたのだ。そう思うと胸が一杯になって言葉が出て来ない。父は自己表現に関しては不器用だったが、僕の知る限りこれまで出会った人の中で一番優しい人だった。本当に、信じられないくらい優しい人だった。

正直なことを言えば僕は少し涙ぐんだ。それから弟に電話してみた。手紙の文中に副会長がどうのというくだりがあって、僕自身にはその記憶がない。弟に聞いてみると、確かに小学校のときに生徒会の副会長をやったことがあるそうだ。ということはつまり、この手紙は僕ではなくて弟が書いたものとはっきりした。どうりで小学生とはいえ、文章力がないと思った。実際のところ、自分が書いた手紙を父がずっと持っていたと思って涙ぐんだのだが、これが自分の手紙ではなかったというのは拍子抜けかもしれない。しかし、かといって父の優しさにはなんら変わりない。それからしてみると、僕はといえば、これまで両親からもらった手紙の類は引っ越しを繰り返すたびに全部捨ててしまった。まあそれだから僕が優しくないという理屈にはならないとは思うが。僕自身は田舎に戻る決心をしたときに、過去は全部捨ててくるぐらいの気持ちでいたのだから。

余談だが、僕は小学校のときに無理やり生徒会長に立候補させられた。で、講堂に全校生徒が集まっている前で友人のムラカミが「タカヤマヤスシはあなたの一票を待っています!」という物凄く熱い応援演説をやった後に僕が「正直に言えば僕は生徒会長になりたくないのです」という演説をやらかして見事に落ちた。当然ながら後で担任に怒られた。まあその記憶はあるわけだから、やっぱり副会長云々というのは僕のことではないのだ。

今日はいつもより早起きしたのに、2時間昼寝したせいか、あっという間に夜になって一日が終わったような気がする。それと、相場のチャートを見てもポジションを取らずにじっと我慢していたせいか。

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