靄と遠雷

12月13日、日曜日。

7時の寺の鐘で一度目が覚めたような気がする。ともあれ、8時過ぎには起きた。昨夜寝たのは2時半ごろなのでいささか睡眠は足りない。朝食後、玄関を開けて外に出てみると、表は靄で煙っていた。いかにも寒そうだ。

今日も午前中から業務。ここ3日ばかり、なんだかんだ珍しく連日業務に出かけている。

何もすることが思いつかなくなり、午後4時ごろに母のところに行ってみる。母はホールにおらず、部屋に行ってみると布団を被って寝ていた。足のつま先が痛い(先月ぐらいから言っていたのだが)というので靴下を脱がせてみた。母は寝ているときもずっと靴下を穿きっ放しなので、これまで靴下を脱がせてみたことがなかった。すると、両足の指が赤黒く変色していて愕然とする。たまたま職員もそこに居合わせたので、階下から看護師を呼ぶ。母の左足は静脈血栓でむくんでいるのだけれど、ここまで色が変わっているのはどうやらそれだけではなさそうだ。このところ足が痛いというので弾性ストッキングを穿かせないようにしていたというので、むくみは酷くなっている。そのせいもあって、特に左足の指はぷくぷくしている。色に衝撃を受けて悪い方に瞬時に想像が飛び、医者に診てもらうように頼んだ。なんだかんだあって(こういうときは僕は心配のあまりムキになってしまう傾向がある)看護師と言い合いみたいになってしまったが、今週病院で診てもらうということに。

睡眠が足りない影響は夜になってやってきた。夕飯を済ませてクラブワールドカップ準々決勝の広島対マゼンベ(アフリカ代表)との試合に備えようとしていた7時ごろになって、猛烈な睡魔が襲ってきた。試合が始まってからもあまりの眠気にぐらぐらしてテーブルに突っ伏しそうになる。というか、実際に突っ伏した。こういうときにつくづく思うのだけれど、人間というのは睡魔にはどうやってもかなわないのではないだろうかと。ともあれ、試合の方は序盤マゼンベの個人技の方が勝っているように見えて、これは広島はかなわないかもと思っていたのだが、コーナーキックから先制、後半になるとマゼンベの守備がボロボロになったこともありまったくの広島のペースになり、終わってみると3-0の完勝。これにはちょっとびっくりした。試合が終わるころになって珈琲を飲んだらようやく猛烈な眠気からなんとかかんとか生還。

で、DVDで根岸吉太郎監督「遠雷」を久しぶりに見た。物凄く好きな映画だ。見るのは10年振りか20年ぶりかというぐらいに久々なのだけれど、僕の記憶では黒澤明監督作品を別格とすると、邦画ではベスト3に入るぐらい好きな映画だった。今回改めて見てみると、特に大作でも劇的な映画でもなくむしろ小品といってもいいような映画である。淡々と、しかし退屈しない程度のテンポで地方都市の若者を描く。

やたらと「の」が多いツイートになってしまった。永島敏行主演のATG映画というと、当時はもっとも典型的な、いわゆる「暗い」映画になるパターンなのだが、この映画には確かに希望や幸福というものがあるのだった。それが鮮烈な印象になっていたのだと思う。ここには確かに凡庸でささやかだが、幸せのひとつのかたちがあるのだった。

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