my favorite things vol.15

「がんばれ元気です、俊平」

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気がついてみると、すっかり漫画を読まなくなっていた。特に週刊誌は読まなくなってもうかれこれ15年以上経つのではないだろうか。前にも書いたが、僕は父親譲りの凝り性なので、読む時には徹底して読む。それも連載をちびちびと読むのは性に合わないので、一時は部屋が単行本の漫画で溢れていたものである。そんなまとめて読む癖がついたのも、これも以前書いたが高円寺のボロアパート時代に通っていた喫茶店のせいである。当時深夜の3時までやっていたその喫茶店は、いろんな漫画の単行本が揃っていて、夜行ってはコーヒー一杯で何時間も粘って漫画を読み耽っていたものだ。それにしても、いい年した大人が電車の中で漫画週刊誌を読む姿というのはカッコ悪い。僕がオヤジになっただけかもしれないが。あ、ラーメン屋は別。何故かあそこだけは漫画を読むのがサマになる。

そのころ大好きだったのが小山ゆうの「がんばれ元気」だ。泣けるよな...あれ。小山ゆうは基本的に全部好き。つい先日、衝動的にものすごい久しぶりに買った漫画も、彼の「あずみ」。早く続きが読みたくてしょうがない。

そんなわけで、「P.S.元気です、俊平」。これも高橋留美子の「めぞん一刻」などと並んで当時大好きだった漫画である。柴門ふみの中では一番好きだ。例の「東京ラブストーリー」にも共通してるが、彼女の漫画の中に描かれている女性は、かたや弱さを武器にするしたたかさを持っていたり、かたやしたたかに見えて弱さを秘めていたり。女性にしか描けないいい女、かわいい女が出てくるのに感心させられる。何より特筆すべきは、「めぞん〜」にも共通する、男のもどかしさである。ほんとにもう、どうしたんだというくらいもどかしい。しかし、実際のところ、男なんてそんなものなのである。少なくとも僕は。男というのは、妙に自意識過剰だったり、見栄っ張りなところがあって、自分では内心重々承知していながらも、オレはそんな女々しい男ではない、という様に思いたがる節があって、男の作家にはなかなか描きにくいところでもある。男が男を描くときはどうしても美化してしまったり、スーパーマンにしてしまったりする。ついつい理想を追い求めてしまうのである。本宮ひろ志しかり。エトセトラ、エトセトラ。多分に女性の方が現実的で、クールだったりするのだろうか。

てなことで、いまやってるドラマで見ているのは、TBSの「P.S.元気です、俊平」だけです。辛気臭いオーバーアクトの連発で、四六時中大袈裟に恐がってばかりいる「らせん」の方が、視聴率はいいだろうけど、僕はちょっと食傷気味。「〜俊平」に戻ると、舞台をいまに設定していることと、堂本というキャスティングが気にはなったが、なんとなく昔読んだ漫画の雰囲気は出ている。少なくともキャラクターは理解された上で作られている気はする。まあ、堂本の髪型は俊平役としてはちょっと気になるけど...。とにかく、オレは支持してるぞ。しかし、それにしてももどかしいなあ...。

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