music vol.8

「人数の問題?距離の問題?」

書いたのは先週...

なんとなくテレビを回していたら(うちはケーブルテレビ)、ナベサダ(渡辺貞夫)のライブをやっている。なんか久しぶりに見るな。大昔はレコード(CDじゃないよ)を何枚か持っていたが、彼の音楽はともかくサックス吹きとしてはあまり好きじゃない。パワーが無いんだもの。それはともかく、見てるとギターソロになった途端に知った顔が。レコーディングでここ数年よく使っている梶原順だ。ナベサダとやっているのは知っていたが、まだやってたのね。こんな仕事を長いことやっていると、へんに知り合いが増えて新鮮さが薄くなってくるなあ...。ラブラブ・・・なんて知ってる奴ばっかりだもんなあ。

そういえば、むかしイカ天(懐かしい)がまだ流行っていたころ、学生のときに僕のバンドのドラムをやっていたM(現コンピュータ会社会長!)と、同じくバンドのメンバーでこのコラムでおなじみのYと遊びでバンドを2回ぐらいやっていたのだが、Mがイカ天に出たいと言いはじめた。僕は審査員が知り合いだから頼むからやめてくれと頼んだ。普段偉そうなこと言ってるだけにシャレにならんもんね...。

前にもこのコラムで書いたが、学生のころからの憧れのアーティストだったジノ・ヴァネリが初めて来日したときに弟と渋谷にライブを見に行った。全盛期のライブ・ビデオでの大編成とは違い、こじんまりとした編成(4リズム+コーラスだったかな?)。ホールがどこだったか忘れたが、そんなに大きなホールじゃなかったことは覚えている。いきなりメンバーが登場した途端に知った顔が...。コーラスが知り合いのマクサン(Maxyne Lewis)ではないか。アメリカに帰ったとは聞いていたが、4・5人しかいないメンバーの一人が知り合いなんて、なんか損した気が...。なんだか僕の中では伝説のアーティストだっただけに、急に身近な人になってしまったようでちょっと幻滅。

数年前に一度だけJリーグの試合を見に行ったことがある。等々力で川崎VS清水の試合。実をいうと僕はアントラーズのファンで、おまけにアンチ読売なのだが、そのころつきあっていた彼女がチケットをもらってきたので。実際に見てみると、なんと華やかなこと。もうブームは落ち着いていた頃だが、それでもやっぱりスポーツの会場というのは、コンサートとは違った熱気というか、華やかさがある。インドアとアウトドアの違いもあるのだろうが。ろくに知りもしない選手もスーパースターに見えてしまうから不思議だ。どうでもいいが、カズって実際見ると胸板でかくてジャミラ(知らないよね...)みたいだった。

僕は野球は2回しか見に行ったことがないのだが、やっぱり同じ様に感じたものだ。ひとつには照明がやたら明るいことが雰囲気をかもし出しているような気もするが、やっぱり一番大きいのはたぶん人数の違いだろう。単純に収容人数の違いもあるが、東京ドームでコンサートをするバンドもあるくらいだから、それよりも大きいのは潜在的な(熱狂的)ファン層の人数の違い。もちろん音楽でも百万枚単位で売れるアーティストというのはいるが、たとえば野球とかで考えると僕の嫌いな(笑)巨人のファンとかになると0がひとつ多いだろう。単純にアメリカで考えてもどう考えてもマイケル・ジャクソンよりマイケル・ジョーダンの方がスーパースターでしょう。以前ロスのスタジオでマイケル・ジャクソンの隣のスタジオで仕事したことがあって、駐車場でも彼の隣に車停めたことがあったりしたんだけど、別にどってことなかったもんな。ちなみに一緒にいたレコード会社の友達はトイレで本人とすれ違ったそうです(僕は見かけなかった)。やっぱり例の皮ジャン着てたって(笑)。あれっ、この話一度書いたっけかな?

そう考えると、ワールドカップの例を出すまでもなくサッカーの潜在ファン層は世界的に見ると桁違いなわけで、中田はほんとうにすごいと思う。音楽の場合は嗜好が分かれる分、各人の思い入れがちょっとマニアックなんだよね。僕は高校のころ初めてバンドを組んでコピーしたのがレッド・ツェッペリンとディープ・パープルだったのだが、去年たまたまロンドンでジミー・ペイジの娘(写真家)と仕事をしたんだけど、普通のいい子(おばさん?)だった。親父にあったらちょっとびびったかも知れないけど。こういうことって、たぶん単純に自分との距離の問題なんだろう。現実と虚像の違いというところか。そんなこと言いながらも、目の前にジミヘンとジョン・レノンが生き返って現れたら僕は死ぬほど緊張するだろうな...。なんてったって、死んだ人が一番距離が遠いからね。

人数といえば、テレビというメディアが一番強いかもしれない。僕はこれまで2回出たことがあります。2回合わせて出演時間10秒(爆)。

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