music vol.2

「箱庭の中で」

今度は作曲教室の先生をやることになったのだが、生徒はほぼ全員が男。がっくし...

実を言うと、最近家でほとんどCDを聞いていない。

制作者としてあるまじきことだと思うのだが、ほんというとここ数年はほとんど新譜のCDを買っていないのだ。ちょっとだけ言い訳すると、それだけ新鮮なネタが少ないのだ。ここ数年の傾向として、レイドバックしたネタ(特に70年代が多い)のアーティストが非常に多くて、昔みたいに思わず腰が浮くようなものがあんまりないのだ。

それでもジャングルとかドラムンベースとか、DJネタには新しい発想のものはあることはあるのだが、個人的にハーモニーとメロディーを重視しないものはエキサイトしないし、飽きる。なによりヒットを出さなきゃいかんという仕事上にはあまり使えない。実際のところ。だってリズムだけドラムンベースを使ってメロディーが歌謡曲では、ドラムンベースの意味ないでしょ。ほんというと最近こういう細かいカテコライズの単語がやたら増えて、勉強不足の不良中年予備軍にはついていけないんだけど(実際アーティストやミュージシャンに訊いたりしてるもんね)、まあ聴けば分かるし、意味の無い細分化も多い気もする。

とにかく、はじめてビートルズやジミヘンを聴いたときのような衝撃を受けるものは最近ないなあ...このあいだ衛星放送で久々にジミヘンの演奏みたけど、やっぱり無茶苦茶かっこいいもんな。あれで30年ぐらい前だからね。いまだにチャーが真似するのも無理ない。そう考えるとレニー・クラヴィッツあたりじゃ役不足だな...やっぱりオヤジになったのか。

でもって何を言いたかったかというと、人間仕事にしてしまうと好きで始めたことでも仕事として捉えてしまうということ。これでもまだ30歳ぐらいまでは月に10枚ずつぐらい洋楽の新譜を買っていたのだが、最近車をやめたので、車で聴くことがなくなったからな...人間不思議なもので、仕事モードに入ってしまうと、その発想で考えてしまう。学生のころ、ミュージシャンを目指していろんなアーティストをコピーしていたころに聴いていた、海外のミュージシャンと実際に仕事をしてみると、意外に自分がミーハーじゃないことに気付いたりする。日本のスタジオミュージシャンと仕事をするのとほとんど同じ感覚になってしまうのだ。あれほど憧れていたのに。考えてみるとちょっと寂しい。やっぱりこの業界は外からみるのと、中にいるのでは感覚が違うな...

それでもやっぱり僕は音楽が好きなので、いまでも好きで聴くアーティストというのはいるのだ。日本のアーティストの中ではマンディ満ちる。彼女のアルバムは自分で金を払って買っている。最近の日本のアーティストの中では断然かっこいいと思う。売れようが売れまいが。それと最近知った中ではタンゴのピアソラ。両者に共通しているのは、洗練されていること。僕は元々田舎者なので、洗練されているものに対する指向は人一倍強い。まあ、昔のひとがアメリカに憧れたのと一緒で、一種の敗戦国民の思考に通じるものがあるけど...

という訳で、またフリーになったことだし、仕事擦れしてきた自分を自戒の意味を込めて反省してみた。初心に帰って、また勉強しなおすことにしよう...

言行一致。できないんだな、これが。

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