午前中のない人生

11月21日、土曜日。

車のディーラーからの電話で起きた。時間を見るともう10時43分だった。昨夜、面倒になってもういくら夜更かししても朝寝坊してもいいやと思ったのだが、これは……。どんどん時差が。

そんなわけだから朝食後の珈琲を飲んでいると昼になる。僕の辞書からは午前中がなくなりつつある。

「JIN -仁-」完結編の最終回を見る。総集編も合わせるともう三度目だ。これはこれでハッピーエンドなのだろう。だがしかし、個人的には二人の想いが報われるハッピーエンドが見たかった。それでも感無量。

夕方近くになって、ドトールに本を読みに行くことにした。行きがけに図書館に寄って現在読んでいるジェイムズ・エルロイ「アンダーワールドUSA」の下巻を借りる。

ドトールの店内はスムーズジャズが結構な音量でかかっていて、それが気になって読書に集中出来なかった。途中から斜め前のカウンター席に座った若い女性が立て続けに煙草を2本吸ったのも気になる。どうにも読書に集中出来ないので、席を立って隣接の書店を見て回る。すると、久坂部羊「無痛」が面白そうだったのでつい買ってしまう。帰宅後調べると図書館にあった。それに現在放送中のドラマを見てからでもよかったような気が。

ドトールを出てイオンモールのリンガーハットで夕飯を済ませようと向かうが道を間違えてしまった。しかしそこは巨大ショッピングモール、少々道を間違えても遠目から見えてなんとか辿り着く。

そんなわけでリンガーハットでちゃんぽんの夕食。

champon

リンガーハットのちゃんぽんを食べるのは数年振り。最後に食べたのは渋谷駅前の246沿いの店だった。あまりにも長いこと食べてなかったので頭の中で妄想ばかりが膨らんで、実際に食べてみるとこんなものかという感じだった。どうやら僕はとんこつラーメンにあまりにも過大な幻想を抱いているらしい。こっちに来てからとんこつのラーメンをいくつか、一風堂のインスタントも食べてみたがどれもピンと来ない。というのも、用賀の柳屋の味が忘れられないせいだ。もう一度あの店のラーメンを食べないことには。いずれにせよリンガーハット、麺の増量無料で税抜540円というのは安い。

mall

モールを訪れる人々は皆カップルか家族連れに見えて、僕だけがひとりぼっちな気がした。もちろん気のせいだ。世界中で僕だけがひとりぼっちなわけではない。

夜はなんとなく番組表を見ていて気になったEテレのドナルド・キーンの番組を見る。僕の人生よりも長く日本に関わり日本の文学を読み、訳し、90歳を過ぎて日本国籍を得て日本に移り住んだドナルド・キーンがあまりにも日本語が下手なのに驚いた。ただそれでもドナルド・キーンは僕ですら読みこなせない旧仮名遣いの古典を読みこなしている。不思議だ。久々にというよりもEテレと名前を変えてから恐らく初めてまともに番組を全部見たが、あまりピンと来なかった。僕の生まれる前から日本の文豪たちと付き合ってきたドナルド・キーンの言葉はあまり響かないしそこまでの含蓄はないように思える。とすると、戦争中から70年日本を見てきたドナルド・キーンの人生とはいかなるものなのか。ただ、僕は何故日本人として生まれてきたのだろうか、などと思う。

実際問題として日本語というものは非常に難しいと思う。「てにをは」とか。”I think” は「私は思う」でも「私が思う」でもいいが、それぞれニュアンスが違う。そう考えると英語の方がよほど簡単なのかもしれない。長年ニューヨークで暮らしてきたドナルド・キーンの日本語があまり上手くないのは、普段日本語で会話しなかったせいかも。

それはそうと、僕は今夜もまた夜更かしをするのか?

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