ママ・グランデの葬儀

12月26日、土曜日。

午後伯母の葬儀。昼頃に仙台からやって来た弟と二人で参列した。弟は白髪が増えていた。外は父の葬儀のときと同じように雪だった。コロナ禍の葬儀に式まで出るのは今回が初めて。ソーシャルディスタンスを取った10人ちょっとの親族だけの、寂しい葬式だった。弔辞、弔電、式後の会食(お斎)、省略できるものはありとあらゆるものが省略された。だからトータルの時間は通常の葬式よりも短いのだけれど、その分だけ坊主の読経の時間の割合が長くなる。読経は永遠に終わらないように思えた。途中から頭がぼうっとしてきてぐらぐらと眠くなり、気が遠くなりそうになった。だからいろんなものが省略されて短くなったからというわけではなく、伯母のことを思い出す時間がいつの間にか次第に薄れていくのだった。飾られた遺影は亡くなったときよりも20歳ぐらい若い写真だった。それを見ながら伯母を思い出そうとしたがそれはなかなか難しく、この式自体が故人とは関係のないところで行われているミーティングのように思えた。

喪主であるいとこの話によると、伯母は肺に水が溜まる病気で10月から入院していたらしい。クリスマスイブの朝食前に看護師と話して、その10分か15分後に看護師が朝食を持っていくともう息を引き取っていたそうだ。そんな風にひっそりと伯母はこの世を去った。

帰宅後礼服のまま台所で冷めた珈琲を飲みながら煙草を吸った。なんだか無性に疲れていた。

ところで例のCubaseで再生されないオーディオファイルがある問題だが、今日の午前中に解決した。念のためにともう一度スクリーンショットを撮ってサポートにメールで送ったのだが、その後ふと、そういえばプラグインのEQ(sonibleのEntropy EQ+)がまったくフラット、つまりデフォルトの状態になっていることを思い出し、もう一度Entropy EQ+を立ち上げてしげしげと眺めた。そこでようやくプラグインの隅っこに小さい文字列があることに気づき、そこをクリックするとオーソライズのポップアップが出た。要するにEQがオーソライズされていなかったのだ。プロダクトキーをコピペしてオーソライズを完了させると、無事にオーディオファイルは再生されるようになった。

という具合に書くとあっさりと気付いたように見えるが、実際のところはまず新しいオーディオトラックを追加してそこに再生されないオーディオファイルのパートをコピーした。するとファイルは再生される。つまりファイル自体には問題はないということである。次に元のトラックからVSTプラグインをコピーしてみると、今度は再生されなくなり、それでプラグインが原因とようやく気付いたのだ。

なんていうか、大方のパソコンのトラブルというものはほとんどの場合、機械やプログラムの不具合ではなくてそれを操る人間の不具合だ、というのが本日の教訓。

夕食は葬式でもらった特大の弁当を食べた。シェフのお品書きがついた弁当はあまりにも豪勢でとても食べきれなかった。夕食後、一昨日ぐらいに思いついたイントロを台所のギターで弾いているとなんとなくメロディが浮かんだので五線紙を持ってきて書き起こしたのだが、これがどういう具合かまったくもって昭和の歌謡曲みたいなメロディになってしまったのでメンタル的にめげてしまい、書斎に戻って「冬のソナタ」の9話を見たら三角関係やらなにやらがグダグダになっていらいらの頂点に達する勢い。そのまま10話まで突入したものの、なんだかよく分からないまま恋に落ちたペ・ヨンジュンとチェ・ジゥの姿にいささか脱力して一時停止。これがまだあと10話続くと思うとそれこそ気が遠くなる。

一旦PCを離れてシンセの電源を入れて先ほど書いた曲を弾いてみる。と、まずイントロのリフを修正。それからAメロだけ少し直してBメロ以降は明日書き直すことに。

それにしても、人は何故死ぬのだろう? 物事には必ず終わりがあるということなのか。手塚治虫の「火の鳥」で火の鳥を食べて不死になり意識だけが地球が滅んだ後も残り3億年も宇宙に漂う男を思い出す。つまり、何かが永遠に終わらないということは僕らが考える以上に相当酷いことなのだろう。

喪主の挨拶で、いとこは葬儀は(故人との関係の)終わりではなくて始まりだという名言を吐いたけれども、そして途中で声を詰まらせてボロボロに泣いてしまった僕の喪主挨拶とは正反対の立派な挨拶だったけれども、本当に始まりなのだろうか。なんだかそれはパラダイムの転換に過ぎないような気もするが。

最近極端に視力が落ちているし、こうして文章を書いていると言葉が本当に出てこない。度忘れする。記憶が櫛の歯のように抜け落ちていて、まさに記憶喪失レベルだ。だがその忘れた言葉もひょんなことでそのうちまた思い出す。完全に消去されて失われたわけではない。そんな風に、僕はときおりふと叔母のことを思い出したりするのだろう。

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