父の声

10月17日、土曜日。

8年ぶりに父の声を聴いた。

昼過ぎ、西川町の寺の住職がうちの近所の人を伴って二人でやって来た。ぶっちゃけ、茶の間に客を上げるのは一体何年ぶりなのか、想像すらつかない。うちの先祖について僕自身が語れることは何もないので、昨日書斎から出してきた彫刻の下絵などを見せた。実際のところ、自分ではちゃんと見たことがないのだが、一緒に見てみると結構な数があるし、それぞれ精緻に描かれている。それにどうやら曽々祖父のものもあるようだ。

住職はうちの先祖について僕よりもずっと詳しかった。で、以前西川町のサイトにアップロードされていた、父が西川町で講演したときの音声ファイルをUSBメモリで届けてくれた。ちなみに、前夜から用意しておけばよかったのに縁側に置いてあった木の火鉢(曽祖父作)を見せようとして、先祖代々っぽい皿を一枚割ってしまった。

で、夜その音声ファイルを聴いたのだった。内容は前述の小冊子に載っているのと同じなのだが、父の話は想像以上に面白かった。久しぶりに父の肉声を聞くというセンチメンタリズムよりも、気がつくと話の面白さに惹きつけられていった。父は講演の中でときどき僕の発言にも言及していた。で、曽々祖父は西川町の荒木家からこの町の高山家に養子に来て結婚したわけだが、そうすると曽祖父以降のうちの家系には高山家の血筋が流れていないことになる、というようなことに改めて気づいた。音声ファイルには小冊子に載っている内容以降の質疑応答も入っており、その中で父がうちの家系は元々糖尿病の家系で、と言っているのにびっくりした。それは初耳だった。曽祖父は糖尿病で晩年失明したというのである。今日まで糖尿病などという病気は自分には全然関係のないものと思っていただけに驚いた。まあ現在の小食ぶりから言っても自分が糖尿病になることは考えにくいが。

その後の夜、彼女から電話があった。なんだか声が機嫌が悪そうだったのでそのことを訊ねると雰囲気が急に怪しくなり、どうやら今日は反転寸前であるようだ。急に気が重くなる。彼女と付き合っているとこういうことからは免れ得ない。自分で選んだことだからしょうがないがいちいち疲れる。

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