さよなら

3月26日、木曜日。

僕は何もしていない。むしろ、何もしていないことに彼女がキレた。朝のおはようから、昼過ぎまでLINEをしなかったというだけで。ちょっと気にはなっていたが、こっちは相場で盛大なストップを食らったところでそれどころではなかった。先月二週続けてキレて以来、このところ二週間あまり、考えてみれば彼女は妙に安定していた。それで油断していたのかもしれない。結局のところはメンヘラ女子典型の、かまってちゃんの症状と言えばそれまでだが、いきなり悪態を浴びせられてそれに耐えられなかった。まずLINE上に彼女が「さよなら」と書き、それから39秒と9秒の電話がかかってきて怒声を浴びせられ、僕はLINEをブロックした。酷い気分だった。怒りで手がぶるぶると震えたし、例によってストレスと抑うつ状態で手が痺れた。あまりにも酷い気分なので、そのとき持っていた110円68近辺のショートポジションを微益で手仕舞いした。そのポジションはそのまま保持していれば90ピップスほどの利益になっていた。ポジションを手仕舞いして、とにかく気分が悪いので寝てしまおうとベッドに横になったが眠れなかった。途中スマホがピキーンと鳴って、見ると彼女からフェイスブックの友達申請が来ていた。どうやらその後申請を取り消したようだが。

恐ろしく酷い気分は延々と続いた。LINEをブロックしたことで自分自身がショックを受けていた。一度ブロックを解除しようと思ったが、「さよなら」の前の彼女の悪態を読むと許せなかった。ブロックを解除するとどうなるのかよく分からないが、もしブロック中のメッセージが表示されるのであればどんな悪口雑言が表示されるか分からない。そもそもどうしても連絡を取りたいのであればSkypeだってあるしかけようと思えばLINEじゃない電話もかけられるしメールだって書ける。

気がつくと唇が血の気を失ってチアノーゼみたいになってた。途轍もない抑うつ状態。結局僕が彼女に最後に言った言葉は「しつこい」だった。彼女の方はといえば、「バカ」の後に何事か言っていたようだが、何しろ9秒間のことなので記憶にない。これが最後の会話であるとしたら、なんて酷い会話なんだろう。

いつかはこの状態に慣れるのだろうか。皮肉なことに、夕方気づくと外は雲ひとつない快晴だった。昨日彼女と行ったお寺カフェのある寺だか神社だかに今年は昭和34年生まれは厄年と書いてあったのを思い出した。まったく大きなお世話だ。それを言うなら、今年はコロナウイルスでありとあらゆる人にとって厄年のはずだ。毎朝仏壇に向かって彼女がやさしくなるようにお願いしていた自分が馬鹿みたいだ。いずれにしろ、もはやリアルな世界で僕を本当に理解してくれる女性はもう現れないだろう。さよなら。

スマホが振動したので見てみたら、インスタグラムのメッセージで罵詈雑言が書いてあった。その手があったか。救いがない。

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