25分37秒のさよなら

1月15日、水曜日。

午前中、みぞれながら大粒の雪が降ってきて、昼ごろにうっすらと積もり始めたのでいよいよ雪が積もるものと思っていたら、いつの間にか外は晴れて雪は消え、やがて雨になった。

彼女が直接謝りたいというので昼過ぎに隣県からやってきた。何を謝りたいかというと先日の妄言・罵詈雑言を僕に浴びせかけて都合3度も警察に電話する羽目になった件である。何しろ一体誰に頼まれて私に嫌がらせをするだの、他に女がいたらめった刺しにして殺すだの、死んで祟ってやるだの、僕を自殺か事故死に追い込むだのといった暴言を延々と電話で浴びせられたのである。僕らはとりあえずこの田舎町唯一(たぶん)の喫茶店に入った。外はまだ大粒の雪が落ちていた。開口一番、彼女はごめんなさいと謝ったが、それに対して果たしてなんと答えていいものか分からなかった。なんだかうやむやなまま、気がつくと僕はイチからやり直そうと言っていた。で、世間話として一昨日から読み続けている東洋経済オンラインの貧困女子の記事について話をして、その中の記事のひとつに出てきたメンヘラ女子の特徴が全部彼女に当てはまるので、要するに彼女はよくいるメンヘラ女子なんじゃん、みたいなことを言った。のちのちこれが大変なことになるとはこれっぽっちも思わなかった。

一旦二人で帰宅して僕は珈琲を淹れた。で、さっきの続きのつもりで物凄い貧困に至る女子がいかに多いか、そしてそういった彼女たちのほとんどが学校でのいじめや親の虐待、夫のDVなどを経験していること、ほとんどの人が深刻な精神疾患にかかっていることなどを話した。そして、仲直りというかやり直すためにハグをして別れた。ここまでは何の問題もないように思われた。単に友だちからやり直すことになっただけだと。

ところが、夜に彼女から電話がかかってきて、声の調子からしておかしいことにすぐに気づいた。彼女は「どこまで私を見抜いているの?」と電話で詰め寄り、僕には何のことだかさっぱり訳が分からなかった。逆上して喚きたてる彼女の言葉を聞いていると、どうやら彼女自身がメンヘラ女子そのものの、いじめと虐待とDVを受けてきて、それをどうしても知られたくなかったということらしい。それを僕がどうして見抜いたのか、そういう人とは一緒にいられない、もうたくさん云々、その後の文言は正確には覚えていないがとにかくもうさよならという話になった。25分37秒で電話は切れた。僕は感情的にはなっていなかった。ただ冷静にこれはもう完璧にダメだなと思った。結果的に僕は意図せずに偶然彼女のトラウマであり巨大なコンプレックスであることを暴いたことになったようだが、例えそうであったとしても尋常じゃない切れ方で、これはもうさすがに手に負えない、ここまで病的ではどうしようもないと思った。それで書斎のデスクトップ上のLINEに初めて「さよなら」から始まる長い別れのメッセージを書いた。最後の方に、返事はいらない、もう連絡はして来ないでと書いて、最後にもう一度さよならと書いた。ところがそこで僕は固まってしまった。一時間経過しても送信のエンターキーが押せなかった。ことここに至っても、送信したら後悔するような気がして押せなかった。で、ツイッターでこんなことを呟いた。

今見ると特に前者のツイートは笑止千万なのだが、とにかく2時間経ってもエンターキーが押せず、そのうち人生初めてまったく興味がなくなったサッカー日本代表(U23)の試合を嫌々ながら他に思いつかなかったので台所のテレビで見始めた。正直試合自体はもうどうでもよかった。グループリーグ敗退が決まったからというわけではなく、頭の中がもうサッカーどころではなくなっていたから。すると、前半の途中で彼女から電話がかかってきた。というか、かかってきてしまった。

その後の展開はこのところのこの日記を読んでいる人なら察しがつくだろうが、まずはキレてごめんなさいから始まり、悪い印象のまま縁を切りたくなり云々という電話だった。とにかく彼女はネガティブということに異様に拘る。僕が彼女に対してネガティブなことしか言わないとこれまでも数えきれないほど、それこそうんざりするほど言われてきた。詰まるところ、それは彼女自身の思考回路自体がネガティブなことに他ならない。というようなことを僕が話したところでようやく電話は終わった。なんで電話が終わったかというと、途中で彼女が睡眠薬を飲んだからだった。このときばかりはハルシオンに感謝した。

U23代表は僕が彼女とぐだぐだな電話をしている間に田中碧が退場になって10人になって、そんな中後半小川が先制ゴールを決めたものの、ちょうど電話が終わったタイミングでVARでPKを取られて同点に追いつかれ、そのまま1-1で引き分けた。つまり、今大会(アジア選手権)で日本はアジア相手にただの1勝も挙げることができなかった。一体それがいつ以来のことになるのか分からないが、正直そんなことはもうどうでもよかった。僕はすべてにうんざりしていた。

これを読んでいる人なら僕がうんざりするのも分かるだろ?

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