全裸監督

8月8日、木曜日。

意志が弱い。驚くほど勇気がないし根気も根性もない。ただひたすらバテているだけ。あまりにもダルくて、起きて数時間は人間としてまるで役に立たない。かといってベッドに寝転がってもダルいからどうしようもない。というのが最近の日中の僕だ。煙草をやめられない晩年の父を意志が弱いとなじったことがあるが、もしかしたら父は意志が弱いのではなくてそれだけ煙草を吸うという意志が強かったのかもしれない。母はいつの間にか、トイレも全介助になってしまった。庭はすっかり荒れ放題。僕がうだうだと生きている間に、時はちょっとずつ流れているのだ。

さすがにこれではいけないなと思い、夜のニューヨーク時間から相場のトレードを全力でやろうと思っていたのだが、巷で話題のNetflixオリジナルドラマ、「全裸監督」が今日から配信というので見始めたらこれがやたらと面白く、トレードをする決心はどこかに行ってしまった。

村西とおるを一度見かけたことがある。雲母社にいたころ、ちょうどバブルの終わりごろだったと思うが、青山通りと骨董通りの交差する角で擦れ違った。一目で村西だと分かった。思ったより背が高く、まるでプロレスラーのようにガタイがよかった。当時まだ珍しかった大きな携帯電話を持っていた。昔彼の自伝みたいな本を読んだことがあるのだが、幼児期の凄まじい貧困だけが記憶に残った。

村西の半生がなんで面白いかというと、自分とはまるで正反対な人間だからだ。是か非かはともかく、彼は僕にない勇気を持っている。それこそ無謀なくらいに。だから「全裸監督」には自分にはとてもできない生き様がある。Netflixの無料期間がちょうど来週まで残っていたのもラッキーだった。

納戸一杯にごみが溜まっていたので、午後全部車に積んでごみ処理場に持って行った。

この後雷が鳴って、申し訳程度の雨が降った。毎日永遠に続きそうに暑いが、よくよく考えてみると9月から秋だとすると夏というのは実に短い。来週は盆で母が入院して手術だ。母が退院するころには夏は終わっているのだろう。この調子だと夏に何かを成し遂げることはできそうにない。ただ生きるだけで精一杯。

それはそうと、例のパソコンの画面が一瞬真っ暗になる症状、メインディスプレイをHDMIで繋いでから今に至るまで一度も出ていない。ようやく解決したっぽい。

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