向こう側

6月13日、木曜日。

今回の抑うつ状態は本当に酷い。今日は朝起きたときからボロボロだった。

真面目な話、もうちょっと酷かったら救急車を呼ぶレベルだなと思ったが、何年か前にやはり具合が悪くて病院の救急外来に行ったところ、うつ病から来る心因性のものと言われたのでどうせ今回も同じだろうと思った。とにかく近年稀にみる体調の悪さで、田舎に戻ってからは風邪で高熱を出したときを除けばもっとも酷い状態と言ってもよかった。

この調子では母の見舞いに行くのも無理かもと思ったが、4時過ぎに多少ましになったところでとにかく車に乗って病院に向かってみる。

二時間以上病院にいたがその間母はほとんど寝ていて、発した言葉は「腹が痛い」だけだった。まるで昨日までのハイな状態が裏返ってしまったようだった。昏々と眠り続け僕の呼びかけにもほとんど反応しない母を見ていて、もしかして母はこのまま死んでしまうのではないだろうかと頭をよぎった。結局母は夕食を半分も食べないまままた眠ってしまい、しょうがないので7時過ぎに帰途に就いた。

母だけじゃなく自分も食欲がなかったので、夕食は帰り道に地元の蕎麦屋で摂った。

とにかく客がいないことだけが取り柄の店だ。ところが今日は驚いたことにもう一人、おばさんの客がいた。がらがらの店内に鳴り響くテレビの音がやかましかった。

帰宅後も相変わらず調子が悪く、ベッドに倒れこんで危うくそのまま寝てしまいそうになる。何もする気にもなれないしできる気がしない。かといって寝るにはあまりにも早すぎるので台所で珈琲の豆を煎ってなんとか時間をやり過ごす。明日の午前中に母は退院。起きられるかどうか心配だったが、この調子だともう寝るしかないのでその心配はなさそうだ。

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